兵庫県立芸術文化センター恒例の夏のオペラ。今夏はその礎を築いた記念碑的作品「蝶々夫人」が改訂新制作で登場します。※2024年1月11日、兵庫県立芸術文化センターで記者会見が開催された
「かたちから表現する 栗山演出の美を継承」
「蝶々夫人」はセンター開館から初めての夏2006年に佐渡裕芸術監督プロデュースオペラとして初演された伝説の舞台。全8公演を満員の観客で埋め尽くして画期的だと話題をさらい、08年春にはリバイバル上演されました。
今回は初登場の迫田美帆さんと夏のオペラ3回目の高野百合絵さんがダブルキャストで蝶々さんに。原演出の故・栗山昌良さんのもとで演出補を務めた飯塚励生さんが再演演出を担当します。記者会見で佐渡芸術監督と2人のソプラノ、飯塚さんが上演に向け熱く語りました。
飯塚さんは栗山演出について「圧倒的な美しさ」を強調。「障子を見た時に海を、長崎の美しさを感じさせる。その美しさをキープしてお見せしたい。先生は、音楽を信じて音楽を感じながらキャラクターをつくることをとても大切にされていました。日本舞踊の影響が大きく、キャラクターは内面ではなく体のかたちから表現するという信念がありました」
「10代の蝶々さんを意識して演じたい」
佐渡オペラではカバーキャストとしてリハーサルで歌ったことがある迫田さんは「佐渡さんが歌い手に寄り添って丁寧に舞台をつくっておられるのが印象的でした。本役で舞台に立てるのでわくわくしています」。高野さんは「挑戦というプレゼントを何度もいただいている兵庫の舞台。今回も大きな挑戦ですが、長く歌い続けて、この役で世界を目指したい」。
蝶々さん役で2人が注目しているのは10代の女性だったこと。迫田さんは「譜面にはピアノやピアニシモなど繊細な表現が多い。そこが、一人の少女であることを表現する要素になるのでは」と指摘。北陸出身の高野さんは能登半島地震に触れ人々にエネルギーを届ける舞台を祈念。「かれんな蝶々さんが2幕で母となり、最後はすごみさえ感じさせる芯の強さを見せますが、10代の女性を意識して演じたい」
「見るたびに発見がある。大事なアルバムのよう」
佐渡芸術監督は「2人の美しいバタフライと一緒に舞台をつくれるのが非常に楽しみです。信念を曲げずにピンカートンの帰りを待っていた蝶々さんにプッチーニの音楽が寄り添い、大事な写真アルバムを見るように話が進みます。この18年間、私たちもここでオペラをつくることで成長し、国内外の歌手やスタッフとのチームワークもできてきました。兵庫のオペラを支持してくださるお客さまも年々目が肥えてきて、見るたびにオペラの魅力を発見していただけると思います」と締めくくりました。
兵庫県立芸術文化センターチケットオフィス
℡0798・68・0255
(10:00~17:00、月曜休み ※祝日の場合翌日)
https://www1.gcenter-hyogo.jp/
W-Style 2024.3月掲載