「陽子線治療」はがん病巣にピンポイントに放射線を当てることで、正常細胞へのダメージを最小限に抑えることができます。大阪陽子線クリニックの山本道法院長に、適応疾患や治療法の選択について聞きました。
1回の治療は約20分 生活の制限もほとんどなし
陽子線治療は、放射線を外からあててがん組織を破壊する外部放射線治療のひとつ。
「手術と異なり、切らずに臓器の機能温存をすることができるため、治療後の生活の制限もほとんどありません」と話すのは、大阪陽子線クリニックの山本道法院長。
治療は最短で7回(適用には条件あり)で、治療室に入ってから出るまでに要する時間は約20分。今までの日常生活
を出来るだけ変えずに通院治療も可能。
「しかし、がんと診断が出た場合、どんな治療を選択すべきか悩む方は多いでしょう。解決策のひとつとして治療前の
段階に電話とメールで相談がきる無料窓口を設けました」。
図のように、伯鳳会グループの4つの医療機関が「大阪前立腺センター」として連携。連絡先・情報を集約し、患者さんに治療方針を提示することで満足度の向上を図っています。「知見や技術を集結し、偏りのない医療を提供するこ
とも地域医療機関の役割」と語ります。
公的保険適用の治療 経済的負担も軽減
陽子線治療では、下表の疾患であれば公的医療保険の適用。2024年4月の診療報酬改定では、早期肺がん治療の保険適用が予定されています。
「治療費をはじめ、自身や家族の心配ごともあります。私たちは医療という知識を持ったライフアドバイザーという視点を持ち、治療法を提案しています」
山本院長が重ねて言葉にしたのは「治療法の選択が人生の選択にもなる」ということ。自覚があるほど進行している
状況では陽子線治療ができないことも。検診などで早い発見がまずは肝心です。「がんが見つかったら問い合わせをしてください。どんな疑問にも丁寧にお答えします」
陽子線治療 公的医療保険の適用疾患(令和4年4月時点)
・ 前立腺がん(転移を有するものを除く)
・ 骨軟部腫瘍(手術による根治的な治療が困難)
・ 頭頸部悪性腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)
・ 小児腫瘍(限局性の固形悪性腫瘍)
・ 肝細胞がん(4cm以上) ・ 肝内胆管がん
・ 局所進行性膵がん ・ 手術後再発した局所大腸がん
※各疾患とも適用には条件があります。
※上記の疾患以外で、先進医療として治療可能な場合があります。
医療法人伯鳳会 大阪陽子線クリニック
大阪府大阪市此花区春日出中1- 27- 9
℡06・6462・1123、9:00~17:00、土日祝は休診
https://www.hakuho.or.jp/opc/
W-Style 2024.3月掲載